シガツのク
シ
ガ
ツ
の
ク
目が覚めればビロードのキッチン
シャンデリアのようなガラス食器と
調理器具だけが並んでいたんだ
あなたは無邪気に笑いながら
何を食べたいのかたずねてくる
欲望に負けそうな私はただ
指をくわえて眺めているだけ
あなたはその手を差し出しながら
私の瞳をみつめている
「おねがい、食べて」とねだる様子に
ためらいや迷いはなく
ただ本能のおもむくまま
楽しそうなほほえみをうかべ
いつもと同じ歌をうたった
詩・曲 水野智広