卒業
教室中に広がるガラスの破片。
それを片付ける3人の子供達。
卒業式の余韻、不条理だと思う。
担任は作り笑いを残して、すでにその場を離
れていた。
一人の若い教師がやってきた。
3人を見て、黙ってホウキを手に取る。
「することないから」と淡々と手伝うその教
師を3人は別に嫌いではなかった。
作業が終わり、「それじゃ」と子供達は教室
を出て行った。教師も「じゃあね」と手を振
った。「さて…と」誰もいない教室で一人つ
ぶやく。
一番高い場所にある、思い出のこの教室から
でないといけなかった。